
東京ガス横浜中央エネルギー(ヨコエネ)は、横浜市内の8つの行政区(西区・神奈川区・港北区・都筑区・青葉区・旭区・瀬谷区・鶴見区)にて、東京ガスのサービス窓口を担当しております。そこで、日々地域のお客さま先で働く私たちだからこそ知っている、地元のお店情報をご紹介します。
目の前で「鯉が泳ぐ」カフェ
相鉄線瀬谷駅から、海軍道路沿いに歩くこと15分。「YOKOHAMA HOME STAFF」と掲げられた建物の一角に、スペシャルティコーヒーを味わえるお店「ウッドデッキカフェコトリ(以下、コトリ)」さんがあります。
名前の通り、入口にはウッドデッキが広がり、カウンター席に面した水槽には、紅白や黄金色の大きな錦鯉が悠々と泳いでいます。

店内に入ると、「いらっしゃいませ!」と二人の女性が素敵な笑顔で出迎えてくれました。バリスタ兼焙煎士の阪本さん、パティシエの清水さんです。
「よかったらどうぞ」と出されたのは、淹れたてのコーヒー。毎朝一杯飲んでから営業をスタートするそうで、一口いただくと雑味のないフルーティーな味わいにびっくり。あまりの感動に、まずはスペシャルティコーヒーの魅力から伺いました。
カップの向こうに広がる世界
お店では常時3〜4種類のスペシャルティコーヒーを提供しています。「スペシャルティコーヒー」とは、栽培から収穫・輸送、そして抽出に至るまで、徹底した品質管理のもとで届けられる高品質なコーヒーのこと。近年は味の評価だけでなく、生産者の顔が見えるトレーサビリティ(製造者・仕入先・販売元などを記録し、履歴を追跡可能な状態にしておくこと)や、環境への配慮といった背景も含めて、認知度が高まっています。
取材当日は、パプアニューギニア・コロンビア・グアテマラのコーヒーがラインアップされていました。焙煎は阪本さんが行っており、すべて「シングルオリジン」という一つの農園で作られたコーヒーです。
「仕入れると農園さんに直接代金が届くので、現地の方々の支えになれるんですよね」と阪本さん。

筆者が最初にいただいた一杯は、パプアニューギニアの「マッドマンコーヒーウォッシュ」という銘柄でした。ほどよいコクとまろやかな風味で、サラッと飲みやすい口当たりです。
「『マッドマン』という名前は、生産地の伝承にちなんでいるんです。パプアニューギニアは多民族国家なんですが、かつて部族間の争いを避けるために、泥沼に身を隠した人たちがいて。意表をつこうと沼から出ていったところ、敵は泥のお化けが襲ってきたと勘違いして撃退できた、と。この話が広がり、『マッドマン(泥男)』と呼ばれるようになったんだそうです」
楽しそうに話す阪本さん。聞けば、産地のルーツを知るのが好きで、注文が入ると同じようにお客さまに紹介しているそうです。見ると、カウンターに並べられたガラス瓶には、それぞれのコーヒー豆に手書きのカードが。産地、標高、品種、精製方法——その土地にまつわる小さな物語も書き添えられています。
「その国や産地について知ってから飲むと、一杯のコーヒーを通してわっと世界が広がる感じがしますよね。まるで旅行した気分になれる、というか」
清水さんも目をキラキラさせながら語ります。ここでは味や香りと一緒に、コーヒーにまつわるストーリーも楽しめるようです。
地元食材を使ったメニューとのマリアージュ
お店ではコーヒーに合うフードメニューも提供しています。注文したのは、一番人気のしらす&チーズを挟んだ「ホットサンドランチ」です。

焼き立てのホットサンドは、外側がカリッと香ばしく、中のチーズがとろりと伸びます。しらすの程よい塩気は、コーヒーとの相性も抜群。サラダと小鉢は地元・瀬谷の農家の野菜を使っており、どれもみずみずしく感じられました。

(ドリンク単品の場合)700円(税込)
セットのコーヒーは、コロンビアの「キャンディオインフューズドココ&ピーチハニー」を選択。こちらはフルーツと一緒に特殊発酵させたコーヒーで、カップを口元に近づけた瞬間、桃とココナッツの甘い香りがふわりと立ちのぼります。さっぱりと軽やかな口当たりは、フレーバーティーならぬフレーバーコーヒーといった感覚でした。

デザートメニューは日替わりで、この日いただいたのは「サマーレアチーズケーキ」です。ミントのジュレのさわやかさとフレッシュフルーツのおかげで、こっくりとしたレアチーズが軽やかな後味に。添えられたバニラアイスが、夏の暑さで火照った体をやさしくクールダウンさせてくれました。
4年間の間借り営業を経て、ついにオープン
阪本さん・清水さんのお二人は、小さい頃からの幼なじみ。「コトリ」さんは念願叶ってオープンしたお店だそうです。過去4年間は神奈川県内で間借り営業をしており、実店舗を持つことを長年の目標としていました。
もともと阪本さんは大手コーヒーチェーンで働いていましたが、「ゆっくりコーヒーを淹れられるお店で働きたい」とシャンソンカフェに転職。その橋渡しをしたのが、すでに同店で働いていた清水さんでした。ところが、建物の老朽化でカフェの営業が続けられなくなってしまいます。

「音楽を流しながら、お客さんとコーヒーやスイーツを楽しむ。あの空間がなくなってしまったことが、すごく寂しくて。どうしてもお店を続けたかったんです」(清水さん)
そこから一念発起し、二人で店舗を持たない間借りコーヒー店をスタート。鎌倉・鶴ヶ峰・本牧と、各地を転々としながら出店を続けました。
「どんなに狭いところでも、コンセントと水さえあればコーヒーは出せるんですよね。本当に、いい修行になったなと思って(笑)」(阪本さん)
転機が訪れたのは、あるイベントでのこと。来場していたリフォーム会社の社長が「カフェを運営してくれる人を探している」——そんな話が耳に入ってきたのです。その場で手を挙げたことでトントン拍子に話が進み、2025年8月に同社店舗内でのオープンにこぎつけました。
開店すると、間借り営業時代のお客さまや地元の方が訪れてくれるように。今では毎日通う常連さんもいらっしゃいます。
「デザートと一緒に『コーヒーはおまかせで』とオーダーを受けたときは、そのときに一番合うものを選ぶようにしています。提供したあと、お客さまがコーヒーを一口飲んで『わぁ』って驚いてくださったり、デザートとのマリアージュを楽しんでくださっている様子を目にすると、幸せだなと思えます」(清水さん)
また、忘れられない出来事もあるそうです。
「夏にお孫さんとおばあさまが来店されたとき、相席したご夫婦とお話が弾んでて。そのあと、お孫さんがお母さんに電話したときに、『カフェで友だちができたから、来週も来ていい?』と話していたんです。その様子を見て、みんなでほっこりして……(笑)
それは、この大きなテーブルだからこそだな、と思うんです。個人的に相席は苦手なんですけど、たまたま居合わせた人同士で会話が広がる様子を見ると、すごくうれしい気持ちになります」(阪本さん)
コーヒーを飲んで、心で旅する
2026年9月中旬から10月末までは、季節限定のメニューが登場します。瀬谷区で開催される「ガパオ祭り」に合わせ、地元・瀬谷産のホーリーバジルを使ったガパオサンドや、バジルアイスが提供予定です。もちろん季節の食材を使ったデザートも味わえます。
ゆったりと泳ぐ錦鯉を眺めながらの休日は、時間の流れがゆるやかに感じられそうです。この秋は一杯のコーヒーを通して、世界を旅してみてはいかがでしょうか。
※当記事でご紹介した商品の価格・サービスは、2026年8月時点のものです。「ウッドデッキカフェコトリ」さんにインタビューを行い、いただいたコメントを編集して掲載しています。
取材・文・撮影/弓橋 紗耶
作成:2026年8月
