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2025.09.22

横浜まち情報

明治時代から続く賑わいと温もりを——三世代の想いが紡ぐ「古民家cafe&beer 花やしき」

東京ガス横浜中央エネルギー(ヨコエネ)は、横浜市内の8つの行政区(西区・神奈川区・港北区・都筑区・青葉区・旭区・瀬谷区・鶴見区)にて、東京ガスのサービス窓口を担当しております。そこで、日々地域のお客さま先で働く私たちだからこそ知っている、地元のお店情報をご紹介します。

150年の歴史を紡ぐ古民家で味わう、心温まるひととき

相鉄線瀬谷駅からバスで6分。竹村町停留所から境川へ向かって住宅街を進むと、突如風格のある日本家屋が見えてきます。江戸末期に建てられ、明治時代から150年以上もの間受け継がれてきた歴史ある建物は、2024年5月にオープンした「古民家cafe&beer 花やしき(以下、花やしき)」です。

色とりどりの草花が生い茂る庭から玄関に入ると、古きよき時代を感じさせる和の空間が広がります。中央にいろりが配置されたテーブルや、縁側から見える庭園。重厚な和ダンスの隣には、鮮やかな美しい手毬てまりが飾られています。初めて来た場所なのに、まるで田舎の家に帰省したような懐かしさと安心感に包まれました。

縁側には庭に面するように席が配置され、四季折々で表情を変える風景や、悠々と泳ぐこいを眺めながら、ゆったりとした時間を過ごせます。「今はユリが少し咲いていますが、秋になると一面の紅葉が楽しめますよ」と声を掛けてくださったのは、店主の川口百合衣さんです。

店名の「花やしき」は、川口さんのお祖母さまが「いつかこんなお店ができたらいいな」と長年思い描いていた名前。料理を提供する美しい器は、そのお祖母さまが一つひとつ大切に集めたものだそうです。

こだわりのおむすびと本格抹茶メニュー

看板メニューの「おむすびセット」は、京都丹後産の特別栽培米コシヒカリを使用したおむすびが3つと、味噌汁・小鉢がついています。おむすびはその日のラインアップから3種類、好きな組み合わせを選べます。

「一粒一粒のお米がしっかりしているから、おいしいですよ。お米の良さをそのまま味わっていただけるよう、あえて柔らかく握るようにしています」

「おむすびセット」1,450円(税込)

筆者は「牛しぐれ・のりの佃煮つくだに・たらこ」を選択。実際にいただいてみると、確かにお米の旨味・甘みが瞬時に口いっぱいに広がります。「このおむすびの主役はお米だな」と思えるほど、圧倒的な味わいでした。

味噌汁は、店舗から徒歩圏内にある老舗「川口糀店」の米味噌を使用。季節の小鉢には、自家栽培の新鮮な野菜が彩りを添えています。

さらに、「花やしき」さんの名物は、抹茶を使ったドリンクとスイーツ。お祖母さまが長年茶道の師範をしていたことから、幼い頃からお茶の点て方たてかたを学んできたと言います。お店で提供される抹茶のメニューは、川口さんが一杯ずつ丁寧に点てたもの。京都にある老舗茶屋の厳選茶葉「富嶽ふがく」を使っているため、本格的な味わいが楽しめます。

「抹茶フロート」670円(税込)

注文した「抹茶フロート」は、濃茶こいちゃ(たっぷりの抹茶に少量の湯を注いだもの)を氷水で割ったもので、暑い季節にグイッと飲むのにもぴったりの清涼感。上に乗っているアイスと一緒に食べると、爽やかな甘さが楽しめます。

合わせて、常連客の間で密かに人気だという、「喫茶レトロプリン」もいただきました。昔ながらの固めのプリンは、なんとも懐かしい味。「喫茶店のクリームソーダ」と一緒にいただくと、一気に昭和へタイムスリップしたような気持ちになりました。

左:「喫茶レトロプリン」600円(税込)
右:「喫茶店のクリームソーダ」670円(税込)

ほかにも、3種類のサンドイッチを選べる「サンドセット」や、「自家製抹茶あんみつ」も人気です。

「昔のにぎわいを取り戻したい」一念発起して古民家カフェを開業

川口さんが「花やしき」をオープンさせたのは、2024年5月のこと。きっかけは「祖父母の思い出が詰まった家を残したい、かつてのにぎわいを取り戻したい」と感じたことでした。

現在の店舗はもともと祖父母の家で、幼少期から川口さんはこの家で過ごす時間が多かったそうです。お祖父さまは製粉所を営んでいたため、会社の社員や取引先の方など、来客があるのが当たり前。お祖母さまも「百人茶会」というお茶席を開催し、文字通り100人のお客さまがいらしたこともあるそうです。

「昔は祖父がお客さまと麻雀マージャン囲碁いごをして、祖母がおもてなしをする、というのがこの家の日常風景でした。ですが、祖父が亡くなり、祖母も高齢となったことで、以前のような人の出入りがなくなってしまって……。

私にとって、この家での一番印象的な記憶は、お客さまが楽しんでいる姿でした。だから、もう一度お客さまや地域の方が集まり、にぎわう場所にしたいと思って、カフェの開業を決意したんです」

さらに、幼い3人の娘さんたちにも、「さまざまな人との交流を経験させたい」という想いがありました。

「今の子どもたちは『知らない人とは話しちゃダメ』と教えられる時代です。でも、家族以外の人とコミュニケーションを取ることで、人の温かさを感じることもあるし、間違いを正してもらえることだってあると思うんです。

私は小さい頃、お客さんにお酒をついだときに『ありがとう』と言われてうれしかったし、失敗したときに『そうじゃないんだよ』と優しく教えてもらったこともありました。でも、それらは全部良い経験だったなと、今では思っているんですよね」

開業準備にかけた時間は約1年間。傾きかけていた家の重心を修繕し、浴室だったところをキッチンに改装。居間は畳からフローリングに変更しましたが、その他はもとの内装をそのまま生かしました。

メニューを開発する際には、タンスにしまってあった大量の食器をすべて並べ、種類別に仕分けするところから始めました。お祖母さまが大切に集めた一つひとつの器を見ながら、「このお皿には何の料理が似合うだろうか」と考えた結果、シンプルなおむすびと味噌汁の組み合わせにたどり着いたそうです。

オープンから1年余りが経ちましたが、今ではリピーターが増えるだけでなく、地域の子どもたちにとっても特別な場所になりつつあるようです。きっかけは近隣の小学校と行った期間限定メニューの開発で、以降はお店に顔見知りの小学生が毎週集まるようになったそうです。

「水曜日は早めに学校が終わるので、みんな急いでお店に来るんですよ(笑)。お小遣いでジュースを頼んで、テーブルを囲んでおしゃべりしたり、遊んだり。お客さまの迷惑にならないように、『もうちょっと静かにしようね』とか『走らないよ』とか注意することもあるんですけど、それもいいかなと。地域の人と関われるこういう場所は、やっぱり必要だと思いますから」

「昔見た風景・賑わいを取り戻したい」という願いは、着実に現実のものになっているようです。

日常を離れ、ぜいたくなひとときを味わう

秋から冬にかけてはモンブランやぜんざいなど、季節限定のスイーツが登場します。お正月になると近隣の「瀬谷八福神巡り」をされているお客さま向けに、特別なセットメニューも提供する予定です。

季節ごとに表情を変える庭を眺めながら、丁寧ににぎられたおむすびと、心を込めて点てられた抹茶をいただくぜいたくな時間。三世代の想いが詰まった「花やしき」さんで、日常から離れ、特別なひとときを過ごしてみませんか?

注)当記事でご紹介した商品の価格・サービスは、2025年8月時点のものです。「古民家cafe&beer 花やしき」さんにインタビューを行い、いただいたコメントを編集して掲載しています。

【店舗情報】

古民家cafe&beer 花やしき

住所
横浜市瀬谷区竹村町24-1

営業日
水・木・金・土

営業時間
水木金:10:00~15:30(LO15:00)
土  : 7:00~11:00(LO10:30)

定休日
月・火・日 

※不定休のため、最新情報はInstagramにてご確認ください。

電話番号
045-301-0090

SNS
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取材・文・撮影/弓橋 紗耶

作成:2025年8月